【第11回鴻池新田会所寄席(第25回定期発表会)】
令和3年11月3日に第11回「鴻池新田会所寄席」を鴻池新田会所様のご協力とご支援の元、開催しました。
コロナ対策のため、通常定員の半数の50名での事前申し込み制でしたが、
目出度く満席となり、当日は暖かく非常に良いお天気で「寄席日和」でした。
先日、大阪市福祉大会で大阪市から頂いた「表彰状」も披露され、会場の皆様からも
暖かい拍手を受けていよいよ開演です。
一番手は、当寄席初出演の末廣亭文々さんの「明石飛脚」。
通常は賑やかな「はめもの」が入るのですが、今回は、はめもの無しの演出でした。
大阪から明石へ行くのが「明石飛脚」で、明石から大阪へ戻る噺は、複数のエピソードからなるため、
「米朝全集」には、「雪隠の飛脚」「うわばみ飛脚」と解説がありました。
大きな笑いで、無事一番手の役目を果たされました。
二番手は、天津亭狂女さんの「鉄砲勇助」。
元々「嘘つき村」と言う噺の前半部で、題名にある鉄砲勇助さんは、後半部にしか出て来ません。
次々に繰り出す「嘘」に、突っ込みを入れることで笑いを誘う噺で、演者によりいろいろ工夫の出来る噺です。
狂女さんも大いに受けていました。
続いて、天満家うつぼさんの「電話の散財」。
この噺は、明治から昭和にかけて活躍した二代目桂文之助の創作で、
二代目林家染丸が十八番としたことから林家一門が継承している珍しい演目です。
途中で賑やかな「はめもの」が入りますが、
うつぼさんは録音したものを自分で流しながら演じられましたが、
タイミングも良く雰囲気が良く出ていました。
中トリは、天神亭岩塩さんの「火焔太鼓」。
古今亭志ん生・志ん朝が十八番にしていた演目で、東京では人気の演目です。
江戸前の落語をお楽しみ頂きました。
中入り後、くいつきは天満家芝楽さんの「幸助餅」。
曾我廼家五郎が作った演劇作品ですが、松竹新喜劇以外に歌舞伎、落語、浪曲、講談にもなりました。
人情噺として良く出来た噺で、大関の雷五郎吉の涙に思わずもらい泣きした方もおられたことでしょう。
モタレは、天神亭真ん紀さんの「ふぐ鍋」。
先代の三代目林家染丸が得意とし、今では林家一門以外でも良く演じられる演目です。
噺の中に出て来る「大橋さん」は三代目の本名。
この噺を聞いて「今晩は鍋にしよう!」と思ったお客様も多かったと思います。
トリは、天神亭酔千さん十八番の「三十石」。
上方落語「東の旅」シリーズの最後を飾る有名な噺です。
三年振りの高座でしたが、そこは流石にベテラン。
船宿の場面も賑やかに演じて、船がこぎ出してからの「舟歌」の楽屋との掛け合いもピッタリでした。
今回のお茶子は、天神亭縁花さんが務めました。ご苦労様でした。
鴻池新田会所様には、コロナ禍の規制がある中、落語会を実施させて頂き、会員一同大変感謝しています。
また、会の運営のために参加頂いた9名の会員の皆様にもお礼を申し上げます。
来年は是非、会場一杯のお客様の前で開催できることを祈っています。
(八軒家裕次郎記)